セミナー・イベントレポート


1.第45回科学技術週間 研究所一般公開(2004.04.12〜04.18)

2.第11回園芸新技術シンポジウム(2004.04.21〜04.23)
3.アグリビジネス創出フェア(2004.10.14〜10.15)
4.第4回つくばテクノロジーショーケース(2005.01.31)


1.第45回科学技術週間 研究所一般公開
第45回科学技術週間として平成16年4月12日から18日まで、筑波研究学園都市の国立系の研究機関を中心に公開されました。農水省関係の研究機関は、4月14日に公開され、いくつかの研究機関を見学させて頂きましたので、その状況について報告します。筑波研究学園都市にある農水省関連の研究機関は10機関以上ありますが、とても全部は回りきれないので、見学させて頂いたところについて紹介します。訪問させて頂いた研究機関は、次のとおりです。

農業工学研究所    つくばリサーチギャラリー    農業環境技術研究所     種苗管理センター

1.農業工学研究所
農業工学研究所は、農業・農村の有する多面的機能の解明・評価 、美しく住み良い農村空間創造のための生産・生活基盤の総合的整備、等について研究している機関です。
ここで興味があったのは、「春の野草観察ツアー」と、土壌硬化剤(マグホワイト)です。野草観察ツアーでは、研究所に生えている野草について説明を聞きました。この中では、外来種の野草の比率が相当高くなっているとのことで、代表的なものはタンポポで西洋タンポポが多く見られました。
土壌硬化剤は、雑草おさえの効果があり、先着300名にプレゼントしてくれるとのことで、もらってきたものは、家庭菜園の物置の周りに撒いて雑草抑えに使用しました。現在、購入しようとしていますが、まだ、これから製造するとのことで、少し入手に時間が掛かりそうです。入手できれば、ホームーページに公開していきます。

2.つくばリサーチギャラリー
  つくばリサーチギャラリーは多くの研究機関の展示物を集めたところで、常設展示されているところです。入り口では、2種類の大豆で作った豆腐の試食が行われており、どちらがおいしいかアンケートを行っていました。私はどちらも同じようにおいしかったので、判断が難しかったです。
 興味深かったのは、トマトのウイルス病を防ぐために、土壌の温度を上げることで、ウイルスを退治できるとのことで、今年は、苗を植えるところに熱湯を撒いてから植えようと思っています。
 中央農業総合研究センターでは、フィールドサーバの展示していました。これはオンボードコンピュータにいくつかセンサーと、無線LANのインタフェースを付けることで、温室のモニタなどに使用できます。また、デジタル制御装置をつけることで、いろんな制御ができるものです。私の夢のひとつに、野菜の最適環境を、ハウス内で実現し、最高の野菜を作りたいのですが、このためにこのフィールドサーバが有効に活用できそうなので、気になるもののひとつです。他に菜の花の迷路や大型農業機械等が展示されていました。前回の公開でおもしろかったのは、GPSを利用した無人田植機で精度が高く、すぐにでも実用化できるのではと思ったくらいです。今回は展示はありませんでした。 野菜茶業研究所では野菜の苗をもらってきました。

3.農業環境技術研究所
 農業環境技術研究所では、雑草の展示と説明を行っていました。その中で、農業工学研究所で雑草の説明を受けたのですが、それと同じようにタンポポの識別するクイズをやっていました。タンポポは、JJJJ,JJJE,JJEE,JEEE,EEEEと区別され、JJJJは、日本の純粋なタンポポで、EEEEは純粋な西洋タンポポで、その他は、混血種である。JJJJとEEEEの区別は、花の下のがくが開いていうのが、西洋タンポポで閉じているのが、日本のタンポポであるが、混血種となるとその区別がむずしい。農業環境技術研究所でも野菜の苗をもらって来ました。他に小松菜の収穫体験を行っていました。

4.種苗管理センター
  種苗管理センターは、新品種の登録審査を行ったり、売られている種の検査を行ったり、じゃがいもの種苗などのもととなる種苗の生産と配布等を行っている機関です。ここでは、毎回、めずらしいじゃがいもを
すってだんご上にしたものを油で焼いたもの、お好み焼き風にしたもの等の試食ができ、楽しみなところである。私のじゃがいもの紹介でもあるように、実に多くの種類がある。これらが展示されていました。ここでも野菜の関係で種当てクイズをやっていて、クイズで野菜の苗をもらってきました。


2.第11回2004園芸技術シンポジウム
2004年4月21日から23日まで幕張メッセで、2004園芸新技術シンポジウムが開催された。初日の4月21日に参加してきたので、その状況について報告する。本シンポジウムは、園芸に関わるありとあらゆる物が出展されており、家庭菜園をやっている人にもおもしろいものがたくさんある。
 前回、参加したときは温室環境制御システムに興味があり、いろんな情報を入手したが実現し、これで飯を食っていくためには、5,000万円程度の費用が掛かることがわかり、退職金でも間に合わないので、少し意欲が薄れてきている。今回は、特にこれといった目的はなくおもしろいものはないかな、という具合で参加した。
 参加企業は、ビニールハウスメーカ、トンネル、マルチ等資材メーカ、温室環境制御システム、蛍光灯に似た害虫対策用照明、出版社、農業関連の新聞社、ロッカータイプの発根室、排水処理メーカ、野菜のトレーサビリティシステム、農機具メーカ、野菜・土壌の活性剤、ポットメーカ等。
 家庭菜園に活用可能なものが多くあるが、ここでは、野菜・土壌の活性剤について、多くの製品が出展されており、これらについて紹介する。
 主な製品は、光合成たいこ判(株)微量元素研究所,ペンタキープV(株)誠和、HB-101(株)フローラ等がある。各社のキャッチフレーズを以下に紹介する。
  光合成たいこ判は、次のキーワードがキャッチフレーズである。「農の安全、食の安全、環境保全型・光合成増強資材、水溶性葉面潅水材、農業は地上最大の有機合成(光合成)工場!!,植物の栄養源(肥料)はチッソ以外は岩石から。」 この製品の原理は、銅、チタン、モリブデン、マンガン等の微量要素を葉面に散布するとことで光合成を促進しようというもの。
 ペンタキープVは、次のキーワードがキャッチフレーズである。「新・機能性肥料、光合成を高める5−アミノレブリン酸入り、葉の緑が蘇り光合成能力が増強!。」 他社製品との違いは、肥料であること、成分が明確であるとの説明を聞いた。5−アミノレブリン酸以外に光合成たいこ判と同様に微量要素を配合している。
 HB-101は、次のキーワードがキャッチフレーズである。「植物を超元気にする天然植物活力液、花、野菜、米、キノコ、茶、菊、蘭、ハーブ、樹木、山野草、盆栽、芝生等全ての植物に使えます。成分は、杉、桧、松、オオバコより抽出した天然の栄養液です。人間と動物と地球にやさしく、安全無害、木酢液ではありません。」 HB-101は、その効果を多くの事例で紹介している。HB-101のファミリ製品に消臭液等もあることと、木材から抽出していることから、木酢液に似ているように思われる。ペンタキープVとHB101は購入したので、実際にその効果を家庭菜園で実践してみる。その結果は、随時、ホームページにアップしていく予定である。
 他におもしろいのがあった。モフボール((株)TATSコーポレーション)という製品で、ナフタリンを利用したカラス避け製品である。私の家庭菜園でもからすの被害が大きい。芽が出始めたときと収穫時の落花生、ともうもろこし、枝豆等が好きなようで、結構、被害がでる。去年はとうもろこしがずいぶん被害にあった。モフボールは、からすが来そうなところにぶら下げておくことで撃退できるものである。今、家庭菜園の落花生を植えた場所は、大量のCD−ROMをぶら下げている。この効果もあるが合わせてモフボールを使ってみる。

 前回、興味があったYEWFARM(横河電電機(株))と製品名で出展していた温室環境制御システム、パソコンで制御するもので、完成度が高く温室の天窓の制御まででき、ぜひお金があればほしいものであるが、値段は数百万円だとかで。当分、夢の夢である。温度センサーを付けたコンピュータボードで温度モニターをできるシステムを開発して遊んでいるが。

 仕事がら興味があるのは、野菜のトレーサビリティシステム。まだ、RFIDが高いので野菜一個につけていたら野菜の値段が倍になりそうなので、まだ、実用化はむずかしい。現状は農水省から援助を受けた実証プロジェクトが複数、立ち上がっている。RFIDを利用したトレーサビリティシステムはNECだけが出展していた。ただ、現状の実証プロジェクトで使用しているRFIDは、16バイト(数字で16文字)しか記録ができないことから、記録する情報量が限られることと、RFIDではなく、安価なバーコード、二次元コードでも実現できるものであって、魅力が菜要に思える。早く大容量のRFIDが安価に販売されることを期待したい。よく似たシステムにSEIKAがある。これは、野菜に記載された、数字をパソコンからインターネットで検索すると、農家の顔が見えるもので、これはすでに実用化されていて、近くのスーパーに導入済みである。


3.アグリビジネス創出フェア
2004年10月14日(木)と15日(金)の2日間、アグリビジネス創出フェアが東京国際フォーラムで開催された。英語では「Agribusines Creation Fair 2004」である。主催は農林水産省および関連研究機関で、テーマは「新産業アイデアは、ここにある!」ということであり、目的は研究成果の事業化や技術移転、市場開拓などのビジネスチャンスの創出である。
 出展者は主催者、大学、都道府県、企業等、60に組織が出展しており、興味深いものが多くあった。私は、仕事上、ITと農業を結び付けて新ビジネスができないか探すことを目的に参加した。その場面はいろいろあったが、ここでは私の主観で、ITに関係なくはば広く農家の方のヒントになるだろうと思うことを私の主観で紹介する。

1.新種
 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構は、「電子レンジでも甘いさつまいも「クイックスイートI」を代表とし、各種さつまいもやじゃがいもを展示していた。私の家庭菜園でもなじみのあるものも展示されており、親しみやすいブースであった。来年の植え付けの参考になった。

2.低グルテリン、低アミロース米品種”LGCソフト”
 近畿中国四国農業研究センターでは、これから急速に広がっていくだろうと思われる「低グルテリン、低アミロース米品種「LGCソフト」の開発」の発表があった。これは慢性腎不全などの患者さんが低タンパク質の食事療法を必要としている。現在は通常の米の2〜3倍も高い澱粉を米の形状にしたまずいものを食しているそうであるが、これに変わるものであり、価格も2〜3割り増し程度だと思われる。ただし、この米の流通経路が確立していないことから、直接、農家と病院で提携して、進めていく必要があるとのこと。他の研究所のブースでも紹介していた。

以下、解説記事紹介
低グルテリン米とは
 お米の中には紹介されやすいタンパク質(グルテリン)と消化されにくいタンパク質が含まれています。通常と比べてグルタリンが少ないお米は「低グルタリン米」と呼ばれ、人体にとって、低タンパク質米として作用する機能を持つと考えられています。
低アミロース米とは
 お米には、アミロースとアミロペクチンという二種類のデンプンが含まれており、アミロース含量がご飯の粘りと関係しています。通常のうるち米のアミロース含量は20%前後で、もち米は0%です。アミロース含量がうるち米ともち米の中間のものは、「低アミロース米」と呼ばれ、ご飯の粘りが強く冷めても美味しいのが特徴です。低アミロース米の品種としては、最近では「ミルキークイーン」などが育成されています。

3.乳酸菌で野菜も元気
 京都府農業資源研究センターでは、キムチからとった乳酸菌を培養してとった、乳酸菌を野菜の苗床に蒔いたところ、通常の苗床に比べて発芽率も高く、元気な苗が育つとのことであった。これを農業に利用できるような製品にまでは至っていなかったが、おもしろいので、もう少し情報をもらって、家庭菜園でも実験して見たい。

4.休耕田を利用したホンモロコ養殖
 今回、これが一番興味深かった。鳥取大学のベンチャー企業が出展していたもので、減反等で空いている田に水を引いて、そこにもろこを入れて養殖しようというものである。最初は出荷するまで、何年もかかるだろうと思っていたが、話を聞いて見ると、米と一緒で春に稚魚を入れて秋に出荷するとのこと。この背景には減反による田の有効活用というのもあるが、聞いてなるほどと思ったのは、最近の農家人口が高齢化してきており、重労働には耐えられない、といった背景がある。この養殖は重労働ではないし、もろこの成長を見ていると楽しいといった面があり、また、それなりの収益になるというこなので、副業として楽しみながらやるのもおもしろいだろうと思う。

5.地球環境に優しい土壌硬化剤”マグホワイト”
 農業工学研究所では、土壌硬化剤”マグホワイト”というものを開発した。この研究については、2、3年前から注目していたものであるが、土と交ぜて固めると自然破壊をせずに、土が固めることができ、これを細かく砕くと土に戻る。例えばあぜ道をこれで固めることで雑草を抑えることができるし、水田では水漏れ防止の効果も高い。除草剤を使うよりは安全だし、長期的にみればこちらの方が経済的かもしれない。紹介の文章は次のとおりである。
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地球再生のために、あらゆる場面で自然回帰や省資源、リサイクル、汚染物質の使用停止等の環境への配慮が求められています。農村地域における公共事業も例外ではなく、環境負荷の少ない資材や工法の確立が望まれています。そこでpH14と高アルカリ状態が長期間継続するセメント系固化剤の変わり、軽焼マグネシアを主成分とする土壌硬化剤”マグホワイトを開発しました。
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 今年の春の研究所一般公開のときに少しもらったので、とりあえず、家庭菜園に設置してある物置の前に使ってみた。その結果、雑草が抑えられ、そこだけは雑草の手入れをしなくて良かったので楽であった。そのときは、量産体制ができていないので、少し待ってほしいとの連絡があったきり、何の音沙汰も無くなったのだが、現在は出荷できるとのことなので、早速、注文することにして畦に使って見ることにする。畦に使うことで、草刈りの労力が軽減される。強度の調整も可能で、最終的には土に戻すことができるとのこと。

6.フィルードサーバ
 これも数年前から注目したものだが、最初は秋月電子(秋葉原)で売っていたPICNICというボードをベースにしたものだったが、最近は、研究所で回路設計を行い、見かけも、最初は市販されている太陽電池で点灯する庭園灯を改造していたものが、この前、見た製品は随分とかっこよくなっていた。松下電気が今後、製造するとのことである。製品の説明が遅れたが、要はコンピュータボードでここに、温度、湿度、日照、センサーを取り付け、無線LANで情報を送ろうというものである。例えばハウスの環境モニタとか、物体センサーを付けるとデジカメと連動して写真を取るとか、ストロボを光らせてカラスを撃退すとか、さらにDIO IFを付け、それで天窓を制御盤、ヒータの制御盤とインタフェースが取れれば、ハウスの環境制御まで可能になる。
 私の夢のひとつにハウス内の環境を制御して、特定の野菜の最適環境をつくり、最高の野菜を作ってみたい。ぜひやってみたいのだが、お金が足りないのでできないでいる。
いずれにしろいろんな使い道がある思われる。これからも楽しみである。


第4回つくばテクノロジー・ショーケース
2005年1月31日に、つくば国際会議場で開催されました。このイベントは研究者が主体となり、研究者自らが研究のシーズ、ニーズ、アイディア、技術等を発表し、これにより、研究 者相互、企業相互、研究者・企業・行政の横断的個別交流を促進すると同時に、新たな発想に基づく研究、ベンチャー事業への契機となる場づくりを狙っています。

食品・健康
1.甘みの少ない調理加工用のサツマイモ「オキコガネ」
 テクノロジーショーケースのようなイベントでの楽しみのひとつは新種の野菜を見つけることがある。前回はじゃがいもの「インかのめざめ」を、アグリビジネス創出フェアでは「きたむらさき」が展示されていた。去年のいくつかイベントで、めずらしいさつまいもとして茎や葉を食べる「すいおう」が展示されていた。これは苗を入手して栽培して見た。炒めたりお浸しにしたりしたが、美味であった。
 今回、展示されていたのは、甘みの少ない調理加工用の「オキコガネ」という品種で、去年、登録されたばかりで市場にはまだ出ていないとのことである。このさつまいもは、甘みが少ないので、じゃがいものようにポテトフライやコロッケに使えるとのことである。何とか苗を入手して畑に植えたいと思っている。
  (独)農業・生物系特定産業技術研究機構
     九州沖縄農業研究センター 畑作研究室

     平成16年度農林水産省農作物新品種


   オキコガネ

生命科学
1.ネムリユリスカの永久休眠(クリプトピオシス)研究とその利用
 すぐに農業に適用できる技術ではないのだが、すごくおもしろいので紹介する。ネムリユリスカはアフリカの半乾燥地帯のみずたまりの生息する。幼虫は釣りえさのアカムシである。ネムリユリスカのおもしろいところは、カラカラに乾燥していても死んだわけではなく水を与えると生き返る。(ちょっと表現がおかしいが)乾燥シイタケを水に入れると元の状態の戻るのとよく似ている。水を与えないと半永久的にそのままの状態である。また、記憶も維持しているかもしれないとのこと。この仕組みはトレハロースという糖と遺伝子によって実現されているとのこと。この技術を農業では何に使えるかと考えるといろいろな応用が考えられる。
               (独)農業生物資源研究所



地球・宇宙
1.雪形(ゆきがた)って知っていますか?
 直接的には家庭菜園や農業とは関係ないが、夢のあるなんとなくなつかしい感じのする展示であった。雪形(ゆきがた)とは、春になって山の雪がとけ始めると岩肌と残雪でできるいろんな形のことを言う。それは、人に見えたり、動物に見えたり、文字に見えたりする。昔の農家は、この雪形を見て「そろそろ種まきをしようか」と考えたとのこと、雪形の名称に「種まき爺さん」と呼ばれるものがある。サーチエンジンで「雪形」を検索するといろんな情報がありツアーもある。機会があれば行ってみたい気もする。でも今、行くとはまってしまいそうな気もし、そうでなくても忙しいので、もう少しゆとりができたら行ってみようと思う。
 出展していた納口さんは知る人ぞ知る有名な方で、地震で発生する液状化現象をペットボトルを使って再現できる「エッキー」といったものも作られており、いろんな展示会でたのしい気持ちにさせて頂いている。
  (独)防災科学技術研究所
  関連URL 雪型ホームページ


  跳ね馬(神奈山)
農業・科学
1.農用車両ナビゲーションソフトウェア(詳細説明)
 乗用車のGPSを利用したナビは一般に普及しているが、最近の技術の発達により、田植え機やトラクタにもこの技術が応用されてきている。乗用車と異なるのは、位置データを元に無人で自動的にかつ確実に田植えを行ったり、肥料を蒔いたりできることである。また、無線LANを使用することでリモートコントロールやモニタリングも可能である。この技術に接したのは2年前の研究所一般公開のときであったが、このときは、田植え機やトラクタよりもナビのシステムの方が高価であり、一般の農家で購入することは難しかったが、最近はリーズナブルな価格設定ができるようになってきたそうである。
  (独)農業・生物系特定産業技術研究所機構 生物系特定産業技術研究支援センター
   精密農業用作業ナビゲータ    お問合せ:濱田様

2.空気膜構造による太陽熱利用省エネルギー温室
 最近、畑に家庭菜園用のビニールハウスを建てた。ビニールハウスを建てると一番気になるのは、台風などの強風による倒壊であるが、その次に気になるのは、温度の維持である。ここで紹介するビニールハウスは、夜間でも一定の温度を維持するのに最適なものである。仕組みは2m四方程度にプラスチックフィルビを三重に張り付けそこに空気をいれて膨らまし、その中を地下に埋められたパイプからの水を循環させるのである。そうすることで地温が上昇し、夜間でも一定の温度を保つことができる。花きや果菜類の施設栽培では、冬期に投入されるエネルギーの80%が暖房エネルギーであり、このビニールハウスを使うことで、大幅なコストダウンが期待できる。また、燃料の量も少なくてすみ環境にやさしい。
 (独)農業・生物系特定産業技術研究所機構 花き研究所
  空気膜構造による太陽エネルギー利用省エネハウス

3.焼酎廃液の抑草作用を利用した雑草制御技術
最近は安心して食べられる野菜や廃棄物の有効利用をキーワードにいろいろなものが研究されている。アグリ創出フェアで展示されていたキムチから抽出した乳酸菌による活性剤(肥料)やカニ殻も同じである。九州は焼酎の本場であり、多くの廃液が出るとのことで今まではムダに海に流していた。これを有効利用できないかとの発想で研究されている。一般の消費者や農家からは安価で安心して使える肥料を期待しているわけで、ここにシーズとニーズが一致する。ぜひ、大量生産して安価に販売してほしいものである。ただ、農水省の許認可の問題があり、この難関を突破するには相当なお金と時間が必要とのこと。多くのメーカーや研究者から同様の話を聞いた。化学肥料ならともかくあきらかに毒性がないものについては、容易に許可が降りるようにしてもらいたいものである。このことはいずれどこかで詳細に論じてみたい。
 (独)農業・生物系特定産業技術研究所機構 九州沖縄農業研究センター


こだわりの家庭菜園 TOP